先日の新聞で、フランスやイギリスが2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売をやめると表明したという記事がありました。インドや中国も電気自動車の販売を伸ばすという記事もありました。これをうけて、今後は電気自動車が主流となり、ガソリン自動車は売れなくなるという論調でしたが「本当にそうなるかな?」とおもいました。

聞きなれない言葉ですが、技術の上位互換という言葉があります。すごく単純に言うと、上位の技術はあらゆる面でかいの技術に比べ優れているということです。上位技術が出てくると下位の技術はすぐに置き換わってしまいます。例えばCDが出たためにレコードが廃れたり、デジタルカメラが現れてフィルムカメラがなくなったりしました。(CDよりレコードのほうが音がいいという人もいますが、置き換わりが起きたことは間違いありません)

では、電気自動車はどうでしょうか。ガソリン自動車に比べて上位互換と言えるでしょうか?自動車の性能というと定量的にだせる加速性能、トルク、馬力、航続距離などの定量的なものと、乗りごごちや高級感と行った定性的なものがあります。

現在の電気自動車とガソリン自動車を綿密に比較したわけではないですが、定量的な性能も定性的な性能もガソリン自動車のほうが優れている印象があります。もっと言えば、電気自動車はガソリン自動車よりもかなり性能的に劣っています。

さらに大きな差は価格です。同じ車種の車を比べると電気自動車のほうが圧倒的に高額です。性能差や価格差が生じている主な原因は電池の性能が不十分であり、かつ価格が高いためです。

車の性能差、価格差を埋めるためには電池の製造及び開発技術でかなりのブレークスルー(技術革新)がないと達成できないでしょう。その際に難しいのは価格です。いまの電池はリチウムを使用していますが、それほど埋蔵量が豊富な元素ではないため、世界的に大量にリチウムが使用されると価格が高騰する恐れがあります。

そうするとリチウムをリサイクルする技術が必要となりますが、これも技術的に確立されているわけではありません。結局、現在のところ電気自動車はガソリン自動車に比べて性能的に上位互換ではなく、価格も高いのです。

技術の上位互換が起こらないと商品の切り替わりは起こりづらいのです。そのような状態のままま環境にいいからといって、政府が電気自動車を押し付けても消費者は受け入れがたいでしょう。つまり、かなり大きな技術革新がない限り電気自動車への置き換わりは簡単に起こりそうにないといえるでしょう。