目標設定、計画立案、情報の受発信が新規事業の成功の要
中小企業白書「新規事業の進め方」における課題の第三群は
- 自社の製品・サービスの情報発信が不十分である
- 新事業展開に向けた適切な相談相手が見つからない
- 意思決定から目標達成まで時間がかかる
の三点です。
- 自社の製品・サービスの情報発信が不十分である」
これは、多くの中小企業にとっての永遠のテーマです。よほど発信力を磨かなければ、具体的にどのような媒体を用いて、どのように自社商品サービスをアピールすればいいかわからない企業がほとんどでしょう。本来ならもっと上位に来るべき課題ですが、大きな課題として認識されていないようです。しかし、顧客目線で見た時の自社の特徴や強みをよく捉えた効果的なアピールをすることは商品・サービスを売るためには非常に重要なことなのです。 - 新事業展開に向けた適切な相談相手が見つからない
この課題は、先ほどとは逆に情報の受信力が低いために起こる課題です。適切な相談員は「どこにいるのか」、「どのような人が自社に最も必要な情報を提供してくれるか」を日頃から意識していないと見つけることができません。そのためには情報感度を高くしながら常日頃から多くの人に相談に乗ってもらい、様々な専門家と交流を持つことです。必要になったからといって、いきなり探したところで適切な人を見つけることはできません。 - 意思決定から目標達成まで時間がかかる
この課題はいくつかの問題が複雑に絡まった課題です。まず、「ある商品・サービスを作ろう」と意思決定したとして、具体的にだれが、何を、どのようなプロセスで、いつまでに達成するか、という計画が不十分な場合を多く見受けます。また、自社の現状で作り上げることができる商品のレベルがどの程度かよくわかっていません。そして、商品・サービスを作り上げるためにどのような技術、能力、経営資源が必要かわからないのに「とりあえずやってみながら考える」という姿勢で取り組む人を多く見受けます。それでは時間がかるのも無理がありません。要は、何をすべきかがわからないために手探りで進むために時間ばかりが過ぎ去ってしまうのです。
以上挙げた課題は非常に重用な課題ですが、これらの課題の認識ができるレベルまで到達していない企業が多いため低い割合になっていると思われます。
新規事業は立ち上げるまでに非常に時間がかかるため、しっかりとした目標を持ち、計画を立て、情報の発信や受信を意図的に進めながら実行しなければ成功することは困難なのです。
今まで、中小企業白書をベースとして「新規事業を始めるにはどのような課題があるか」について解説をしてきました。具体的な解決手段は個々の企業の置かれた状況により異なりますが、共通して言えるのは「目的をしっかりと定め、計画を立てて、着実に実行し、軌道修正をしながら一歩一歩前に進む」ということです。
次のコラムは”新規事業は余裕のあるうちから始める”