具体的な案件に対応する新規事業は成功確率が高い
2017年版中小企業白書の「新事業展開の成否別に見た、新事業展開を検討する背景」では、成功する割合(アンケート結果)が高いのは以下の通りです。(カッコ内は「成功した企業」から「成功していない企業」の割合を引いだ数字)
- 新しい柱となる事業の創出(8.0)
- 顧客・取引先の要請やニーズへの対応(12.8)
- 新事業のアイデア実現(6.4)
- 地域社会への貢献(7.9)
- 経営者の交代による方針転換(1.9)
- 土地・設備等の遊休資産の活用(3.3)
「顧客・取引先の養成やニーズへの対応」は「成功した企業」から「成功していない企業」の割合をひくと12.8と一番成功する確率が高いといえます。これは顧客・取引先からの具体的な案件があることから事業の目的が明確になるからでしょう。目的を明確にして取り組み、かつ顧客も定まっているため、成功する確立が高くなっていると言えます。
一方、漠然とアイデアを実現しようとする新事業(③、⑤)や遊休資産を何かに使おうとする新事業(⑥)の成功確率は高くありません。
すなわち、明確な目標もなく、顧客も決まっておらず、何となく始めるような後ろ向きな事業は成功確率が低くなるということです。
追い詰められてから新規事業を始めても成功する確率は低い
一方、以下の新事業は失敗する確率が高くなっています。(カッコ内は「成功していない企業」から「成功した企業」の割合を引いだ数字)
- 他社との競争激化(6.5)
- 既存市場の縮小・既存事業の業績不振(4.3)
- 下請取引からの脱却(2.2)
売上不振などで行政が低迷するなど、追い詰められてから慌てて新規事業を行っても成功する確率は低いということが言えそうです。
新規事業は新しいことへの挑戦であるため、様々な思いがけないことが起こります。そのため、資金も、人材も、労力も、時間も必要となるのです。そのため、「“新規事業は既存の事業が健全で、余裕のあるうちに始めなければならない”」ということです。
次のコラムは”新規事業は自社の強みを活かせる分野に絞る”