新規事業を始める際の絶対的な原則は3つある
2017年版中小企業白書に記載されている「すでに展開している新事業分野」は以下の順番でした。カッコ内は(すでに取り組んでいる割合/今後関心がある割合)を示します。
- 環 境・エネルギー(1/19.9)
- 医療機器・ヘルスケア(8/16.0)
- 観光(7/11.6)
- 農業(3/17.3)
- 既存住宅流通・リフォーム(7/6.6)
- AI・ロボット(7/13.9)
- スポーツ・文化(9/4.9)
- 航空・宇宙(8/4.7)
- 自動運転(7/6.8)
- シェアリングエコノミー(8/2.6)
表を見ると、環 境・エネルギーや医療機器・ヘルスケアに取り組んでいる企業が多く、これからの成長産業としての期待の高さがうかがえます。また、今後関心がある事業としては、環 境・エネルギーや医療機器・ヘルスケア以外に農業やAI・ロボットへの関心が高いことがわかります。
さて、新しい事業を始める際に何をしてもいいように思えますが、絶対的な原則があります。
1.自社の強みを生かせること
強みを活かせない商品は多くの場合作ることが困難であり、頑張って取り組んでも思った以上に時間がかかる場合が大半です。それは、既存事業とのシナジー効果が低く、経営資源も不足しているからです。新しい取り組みでありながら自社の強み・経営資源を活かしつつ、短期間で商品を開発できるためにはかなりの目利きと準備・計画が必要となるのです。
2.顧客がいること
当たり前の話ですが、顧客がいないと商品は売れません。今まで新商品は開発したけれど売れなかったという事例を多く見てきました。それでは、新しく商品を開発する意味がありません。
そのため、早期に試作品を作り、「客がいるか」「売れるか」「儲かるか」を確かめる必要があります。つまり、商品を作り上げるスピードが非常に重要になるのです。
3.強い競合がいないこと
新しい分野に進出しても強い競合がいるとよほどの差別化ができないとシェアを取ることは困難です。つまり競合である先行者はすでに市場での認知度や信用、実績が高いため、明確なメリットが顧客にないと切り替えてもらえないからです。安売りをするのでない限り、「差別化」ができるということは、強い競合がいない新しいスキマ市場を見つけることとほぼ同義語なのです。
次のコラムは”ニッチ市場を見出すことが成功のポイント”