ニッチ市場を見出すことが成功のポイント
2017年版中小企業白書で「新事業分野の選択において重視する点(第2-3-9図)」では、新市場開拓戦略でも新製品開発戦略でもほぼ同じような項目が同じような順番に並んでいます。図に示された重視する点を分類すると以下のように3つに区分されます。
1. 自社の強みを活かせること
- 既存事業の技術ノウハウが活かされる
- 多額の投資を必要としない
- 製品・サービスを提供するチャネルがある
- 知名度・信用力が活かされる
- 連携相手がいる
- 必要な認可等を取得している
2. 顧客がいること
- 市場規模が大きい・成長性が見込まれる
3. 強い競合が居ないこと
- 競合が少なく、価格競争に陥りにくい
図の結果を見ると多くの中小企業が「自社の強みを活かせること」に着目していますが、「市場・顧客」や「競合」の状況については意識が低そうです。しかし、上に上げた3つのポイントでいちばん重要なのは3番目の「強い競合がいないこと」と言えるでしょう。
たしかに「自社の強み」を活かせなければいい商品・サービスを短期間で作れません。 また、「顧客」がいなければせっかく作り上げた商品・サービスも売ることができません。しかし、これらのことは少し意識を高めれば容易に気がつくことができます。一方、気づきづらいのが「競合の状況」です。それも、「現在」だけでなく「将来」の競合についても気を配らなければならないのがビジネスを継続するうえで重要なのです。
最初に市場に参入したときには強い競合がおらず、売上も右肩上がりで利益も十分に出ていたのが、次々と競合企業が参入してきて売上も低迷し利益も激減している企業をたくさん見てきました。すなわち、今の競合だけ見ているだけでは将来も安定して売上・利益をあげられるとはいえません。今は有望な市場だとしても将来は別の市場を見出していかなければ企業の成長を継続することが困難となるのです。
「強い競合がいない市場」とは「ニッチ市場」と言いかえることができます。いかに強い競合がいない、ニッチな市場を見出すかが事業成功のポイントとであり、しかも次々とニッチ市場を見出しながら商品を投入していくことが事業成長の要なのです。この活動を継続して成功させている企業が成長できる企業なのです。
次のコラムは”自社の強みは顧客の評価が基本となる”