人材不足で困っている企業が多い
「新事業展開に成功していない企業における市場ニーズを把握する上での課題」(2017年版中小企業白書)は逆に見ていくと成功するためのヒントが隠されています。以下に課題を示します。(カッコ内は割合(複数回答))
- 市場ニーズを収集・分析 するノウハウを持った人材が不足している (2)
- 市場ニーズを収集・分析 するために必要なコストの負担が大きい(1)
- マスメディア、IT等を 有効活用できていない(9)
- 適切な情報収集源が 見付からない(8)
- 市場ニーズの把握について適切な相談相手がみつからない(7)
人材不足は人を育てる仕組みがないから
この結果は課題というよりも、中小企業が感じている問題点と見たほうがいいようです。一番大きな課題(問題)が「①人材が不足」ですが、優秀な人材は大企業ですら確保するのに苦労しているわけですから、人材が不足する中小企業がこれを問題と考えているのは当然のことです。むしろ、「人材」を育成する仕組みが無いために「人材が育っていない」ことのほうが問題なのです。情報感度の高い人材を育成することは一朝一夕ではできません。人材育成の仕組みを作り上げていかなければいつまで立っても人材不足に悩むことになります。そして、人材がいないために外部に依存して情報を収集・分析しようとすると「②コストの負担」が大きくなります。
情報は常日頃から意識しないと集まらない
一般的に、情報収集に苦労する会社は日頃は情報については無頓着で、必要に迫られてから情報を集めようとする傾向があります。そのため、人材もなく、「④適切な情報源」も持たず、「⑤適切な相談相手もいない」状況になるのです。
情報には質があります。自社に「本当に必要な情報」はなにかを理解して常日頃活動しないとイザという時に情報不足に陥ってしまいます。「本当に必要な情報」とは会社の目的により異なるからです。また、大量の情報を集めることは簡単ですが、「本当に必要な情報」は質が高く、数が少ないからです。
そして、高い質の情報を集めようとするとコストと労力がかかりすぎる場合が多く、中小企業では到底賄うことができません。そのため、外部を上手く活用した情報収集活動をしていくことが肝要なのです。