若い企業ほど成長への意欲が高い

第4章は「中小企業経営の在り方」というタイトルで企業の統治構造や企業行動などが述べられています。その中で面白いコラムがありました。タイトルは「中小企業の成長意欲」というものです。

若い企業ほど成長への意欲が高い創業10年来満では『短期間に高い成長を実現したい』という企業が約23%に及んでいます。それが、創業40年を超えると企業数は約10%まで下がり、総業40年を超えると5~6%まで下がります。企業も人と同じく年をとると安全・堅実な思考になるようです。全体の傾向は『時聞をかけて安定的な成長を実現したい』と答えた企業が約7割で一番多く、安定志向の強い日本ならではと言えるでしょう。

社長の若返りこそ企業成長の要件

社長の若返りこそ企業成長の要件また、社長の年齢も40代以下の場合では、『短期間に高い成長を実現したい』と答えた割合が10%を超えているのに、年代が上がるに連れて割合が下がっていきます。やはりチャレンジ精神の旺盛なのは若い社長と言えそうです。逆に高齢者の社長のもとでは安全志向が強く、企業としての成長が留まる傾向にあるといえるでしょう。社長や経営幹部のの若返りは企業の若返りのために必須と言えるかもしれません。

調査をした中小企業のうち、大企業を目指している企業は全体の約8%であり、中小企業に留まりたい割合が約38%、それ以外は特に考えはない(約55%)という結果も示されていました。すべての企業が大企業になりたいわけではなく、ここでも安定志向が強いことが伺えます。

成長意欲が乏しい企業は衰退に向かう

成長意欲が乏しい企業は衰退に向かう以前、創業60年以上という企業とお付き合いをしたことがありますが、その会社は従業員が10名程度でほそぼそと活動していました。業歴は長いためにお付き合いのある会社は多く、また扱っている商品も独自性の高いユニークな競争力の高いものでした。しかし、当時の社長は「成長するぞ」という意欲が弱く、「食べていければいい」といった感じの経営をしていました。当然のように、業績は思わしくなく、なんとか赤字にならない状態が長く続いた状況だったのです。この会社のように大きな強みを持っているのに企業業績が悪いのは社長の責任と言えるでしょう。
成長する気持ちが低い企業は衰退に向かい、やがて消滅します。今の時代は、「精一杯頑張っても現状維持がやっと」という成長しづらい環境にあります。長年の歴史のある老舗企業が倒産するという新聞記事をたまに見ますが、歴史があるだけで存続できる時代ではありません。未来へのチャレンジが企業継続の必須条件と言えるでしょう。

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