特許出願件数が多い分野が今後の市場で伸びが期待できる

FI記号による出願推移分類FI記号による特許出願の推移を見ると、2000年から2015年の出願件数の総計で最も多いのがGセクション(物理学)でした。僅差でHセクション(電気)が続いています。ただし、Hセクションは2008年にGセクションの出願件数を抜いており、その後2015年に至るまでHセクションの出願件数は一番多くなっています。すなわち、Hセクションは今後のトレンドになる可能性のある分野と言えそうです。そこで、Hセクション(電気)はどの様に分類されているかを見たのが次の表です。

Hセクションは日本が得意とする電気関連分野

HセクションはH01~H05まで分類されています。この分類では電気関連の素子や発電関係、電子回路、通信技術など、様々に分類されています。いわゆる電気関連の部品やエレクトロニクスなどの弱電関係、発電などの強電関係、並びに通信技術など日本が得意とする分野が多く見受けられます。特許出願件数が一番多いのも納得できるところです。さて、H01~H05の出願推移を詳しく見てみると次の図のようになります。

 

電気素子と電気通信技術分野が大きな市場を形成している

一番出願件数が多いのがH01(基本的電気素子)であり、次いでH04(電気通信技術)になります。そして、大きく引き離されますが、H02(電力の発電等)とH05(他に分類されない電気技術)が続いています。

やはり基本的な電気素子は日本が産業として強い分野であり、研究開発も盛んであることが伺えます。2番手のH04(電気通信技術)も近年の電話通信技術や画像通信技術の著しい発達からかなりの研究がなされていたことがわかります。どちらも現在の生活に欠かせない技術だと言えるでしょう。3番手のH02(電力の発電等)は上位2件に比べると出願件数は少ないのですが、他の分類の出願が減少傾向であるのに対して、唯一増加傾向にあり、今後の成長が期待されます。この分野は東北大震災後の電力供給の不安などにより太陽光発電や風力発電などの発電関連の出願が増加したものと考えられます。

ここで、出願件数の多いH01(基本的電気素子)とH04(電気通信技術)、及び出願件数が増加傾向にあるH02(電力の発電等)をさらに詳細に見てみることにします。

H01はH01BからH01Tまで分類されています。「基本的電気素子」というだけあって、ケーブルとか抵抗器などよく知られた電気素子が並んでいます。その中でも突出して多いのがH01L(半導体装置等)であり、ついでH01M(化学的エネルギーの電気的エネルギーへの変換)となっています。

電池関連は今後大幅な伸びが期待できる

H01L(半導体装置等)はリーマンショックがあった2009年まではほぼ横ばいで推移したいたのですが、2009年からは急速に減少しています。やはり景気の影響を敏感に受けて、研究開発は減少したものと考えられます。

しかし、図3を見ると世界の半導体市場は、アップダウンはあるものの、順調に成長しており、成長の余地は今後ともありそうです。半導体の装置分野は日本が強い分野でもあり、今後とも高い水準での研究が続くことが予期されます。

一方、H01M(化学的エネルギーの電気的エネルギーへの変換、電池)はリーマンショックがあったときにも出願件数は増加しており、かなりの企業が研究開発に熱心であることが伺えます。図4の「電力貯蔵・動力分野における製品別二次電池の世界市場調査」によると今後大きな市場の伸びが期待されています。実際に電気自動車、ノートパソコン、電力貯蔵など様々な分野で電池の利用が進みそうです。

次回はH02とH04を詳細に見てみたいと思います。

 

 

 

 

 

 

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