Gセクションで三番目に出願件数が多いのがG03(写真;映画)
Gセクションで三番目に出願件数が多いのがG03(写真;映画)です(図1参照)。写真、映画というとカメラや映写機関連を思い浮かべますが、詳細に中身を見るとG03G(エレクトログラフィー;電子写真)という分野の出願件数が一番多いのです(図2参照)。
「電子写真」という表現もデジカメを思い浮かべますが、G03G(エレクトログラフィー;電子写真)を詳細に見てみると、レーザープリンターとかコピー機関連の分野のようです(図3参照)。図3を見てみると、G03G5/00(光,熱,電子を照射して記録する記録材料)とかG03G7/00(受像素材)という分類があり、これらは写真用感光材料と関連があります。しかし、図3で一番出願件数が多いのが、G03G15/00(帯電像電子写真法用装置)であり、二番目に出願が多いのがG03G21/00(クリーニング,残留電荷の除去)となっています。これらはコピー機関連の分野のようです。
レーザープリンターはまだまだ研究が盛んな分野
G03G15/00(帯電像電子写真法用装置)の出願傾向を見てみると(図4参照)2005年をピークとして右肩下がりに減少しています。レーザープリンターもコピー機もかなり成熟した産業という印象があるため出願傾向が右肩下がりなのもうなずけますが、2016年の出願数は4,000件を超えて おり、まだまだ研究が盛んな分野ともいえます。
G03G15/00(帯電像電子写真法用装置)における出願人を縦軸に、技術分野を横軸にとり、最近の5カ年(2012年~2016年)の出願を見ると図5のようになります。図中の円グラフが出願件数の大きさを示し、2012年~2016年ごとの出願に色分けをしてあります。
キャノンはレーザープリンターに力を入れている模様
図5から、一番出願件数が多いのがキャノンでした。キャノンは2016年の出願件数も多く、この分野に力を入れていることが推測されます。2番目はリコーですが、近年の出願は少ないようです。
実際に市場における業務用&家庭用レーザープリンターの販売状況を2005年~2016年までの期間で見てみました(図6参照)。縦軸に会社名を、横軸に販売年をとり、図中の円グラフがその年に上市された機種の数を示しています。
そうすると最近の販売機種の多いのがキャノンであり、図5に示した特許出願件数の推移を裏付けています。キャノンはこの分野で力を入れており、特にカラーレーザープリンターでの画質の向上に注力していることがわかります。二番手はゼロックスであり、特許出願数は少ないものの、近年の出願件の比率はある程度大きく、絞り込んだ研究をしていることが伺えます。
三番手はOKIですが、特許データを見ても最近の出願件数が少なく、上市しているプリンターも昔開発したものが中心です。
リコーは、図5からみると出願件数はキャノンについで二番手ですが、2016年の出願件数が少なく、上市している機種数も最近は減少気味のようです。
コニカミノルタは最近出願している特許件数はそこそこ多いのですが、上市しているプリンターはほとんどなく、業務用&家庭用レーザープリンター分野から離れているように見えます。ホームページを見ると印刷業界等向けの大量印刷用デジタルプリンターに力を入れているようです。
分析は仮説検証をするためのもの
以上見てきたように、特許情報解析は単にマップを作ることが目的ではなく、作成したマップから何が読み取れるか仮説を立てることが重要です。そして、その仮説が正しいかどうかを市場の情報を見ながら検証する作業が必須となります。