FI記号で三番目に出願件数が多いのがH04N(画像通信)
2007~2016年の10年間で、FI記号で三番目に出願件数が多いのがH04N (画像通信)です(図1参照)。画像はテレビやパソコン、カメラ、スマホ、ゲームなど様々な分野に使用されています。そして、静止画のみならず動画での制御も関わってくるので出願件数が多いのでしょう。
H04N (画像通信)を詳細に見てみると、圧倒的にH04N5/00 (テレビジョン方式の細部)の出願件数が多いことがわかります。(図2参照)。ここでは、「テレビジョン方式の細部」とありますが、単にテレビのみならずデジタルカメラやデジタルビデオなどの技術を含むようです。
H04N5/00 (テレビジョン方式の細部)をより詳しく見てみると、ほとんどの出願がH04N5/222 (スタジオ回路;スタジオ装置)であることがわかります(図3参照)。「スタジオ回路;スタジオ装置」には「テレビジョンカメラ」や「撮像管用回路の細部」を始めとして映像を移すための様々な技術が含まれます。この技術は当然デジタルカメラやデジタルビデオなどにも応用することができます。
H04N5/222の出願件数は2005年をピークに減少傾向
ここで、2000年~2016年までのH04N5/222の出願件数の推移を見てみました(図4参照)。図より明らかなように、2000年から2005年までは出願件数が急増していますが、その後一貫して減少傾向となります。そして、2005年には6,500件以上あった出願件数が2016年には3,300件程度まで減少します。ある程度技術的に成熟してきたためと考えられますが、それでも年間3,000件以上の出願があり、まだまだ解決すべき課題は多そうです。
H04N5/222の2016年における出願人1はキャノン
この分野は出願数が多いため、2016年のみのH04N5/222における出願人を見てみました(図5参照)。図5より、出願件数が一番多かったのがキャノンでした。ついで、オリンパス、ソニー、パナソニックIPマネジメントと電気会社が上位を占めています。この出願人を見てもおそらくこの分野の発明はテレビに関するものではなく、デジタルカメラやデジタルビデオに関する発明であると推測できます。発明の名称でも一番多いキーワドが「撮像装置」でした。
2016年に出願された特許を用途・種類と目的・効果でマトリクス図を作成すると(図6参照)、用途・種類の「動画用」と「静止画用」における「操作性向上」を目的とする出願が一番多いことがわかります。動画と静止画はほぼすべての画像を含むので当たり前と言えますが、目的はデジタルカメラやデジタルビデオにおける「操作性の向上」を意味していると考えられます。
デジタルカメラもデジタルビデオも市場規模は縮小傾向
図7よりデジタルビデオもデジタルカメラも販売数量は右肩下がりで推移しています。おそらく市場が飽和していることに加え、スマホの機能が向上したことによりカメラやビデオの販売数量が伸び悩んでいるのでしょう。特許出願件数が2005年から急減しているのも市場の影響がありそうです。ただし、依然として出願件数が年間3,000件以上あり、解決すべき課題は多そうです。もしかすると何らかのブレークスルーが起こり、再びデジタルカメラが成長するかもしれません。