業務の標準化・マニュアル化は生産性向上の基本だが、効果は限定的

生産性向上の鍵は不要な業務をやめること

2018年度版中小企業白書の第2部・第1節・第2章は「生産性向上の鍵となる業務プロセスの見直し」について書かれています。業務プロセスの見直しのうち、「業務の標準化・マニュアル化」と「不要業務・重複業務の見直し・業務の簡素化」がほぼ同じ割合でトップとなっています。

「業務の標準化・マニュアル化」とは、「標準の手順を決めて誰でも同じように業務を行えるようにしよう」ということであり、いわゆる従業員の多能工化を行うことが骨子です。ただ、これは繰り返し発生する業務で、かつ比較的熟練度が低い業務の場合に有効な手法です。非定型業務のような毎回内容が異なる業務や、熟練するのにかなりの時間がかかる業務には適用できません。「業務の標準化・マニュアル化」は生産性向上の基本ですが、生産性の向上はある程度限定的となるでしょう。

生産性向上の鍵は不要な業務をやめること

一方、「不要業務・重複業務の見直し・業務の簡素化」と「業務の見える化」は、「無駄をなくして生産性を向上させよう」というものであり、かなり生産性の向上が期待できます。特に「不要業務」を見つけ出して、今まで行っていた業務を「やめる」ことはかなり生産性の向上が期待できます。しかし、これがなかなかうまくいかないのです。

企業が大きくなると業績に不要な業務が多く発生します。誰もが「この仕事はイラナイからやめたい」と思っていても、その業務をやめる決断をすることが難しいのです。一般的に「不要」な業務を発生させる人は会社におけるリーダー的な立場の人である場合が多く、面と向かって「それをやめましょう」とは言い出しづらいからです。また、なんとなく習慣で行っている業務を「不要」であると断定することは勇気がいるだけではなく、社員にとっては「面倒くさい」ことだからです。

業務改善はトップダウンで行わないと成功しない

中小企業白書では「不要業務を削減することで業務効率化を実現させている企業」として小豆島のホテルの例が載っていますが、それは経営者が高い意識を持ち、積極的に関与した結果成し遂げることができた事例です。すなわち、「業務改善はトップダウンで行わないと成功しない」と言えるでしょう。

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