G02(光学)関連は光学要素以外の発明が多い
Gセクションで四番目に出願件数が多いのがG02(光学)です(図1参照)。光学というとカメラやビデオなどの光学機器や光ファイバーなどを思い浮かべますが、現在では実に様々な光学機器があります。
G02(光学)の中身を見るとG02B(光学要素,光学系,または光学装置)の出願件数が一番多く(図2参照)、その内容はレンズやライトガイド、顕微鏡、望遠鏡などがあります。その中で一番出願件数が多いのがG02B5/00(レンズ以外の光学要素)となります(図3参照)。
G02B5/00(レンズ以外の光学要素)の中ではG02B5/30(偏光要素)に係る出願が一番多く、次いでG02B5/20(フィルター)の順となっています(図4参照)。G02B5/30(偏光要素)とは、主に偏光板(特定方向に偏光、又は偏波した光だけに限って通過させる板)などに係る発明です。また、G02B5/20(フィルター)とは、与えられた光の特定成分を取り除く(あるいは弱める)作用をする機能をもつものです。ここでは、G02B5/30(偏光要素)について詳しく見ていきます。
液晶に係る偏光板関連の発明がが多く見られる
2000年~2016年のG02B5/30(偏光要素)に係る出願推移を図5に示します。図5から、2005年~2008年までの出願件数が1700件以上と多くなっていますが、その後急減し、最近では1200件程度で安定しています。出願の内容を見るとフィルム、偏光板関連が多く見られますが(図6参照)、その多くは液晶に係るもののようです。
G02B5/30(偏光要素)に係る用途を詳しく見ると(図7参照)、表示関連(黄色い部分)とそれ以外(緑色の部分) に分けることができます。表示関連で一番多いのが液晶表示であり、他を圧倒しています。次いでEL(おそらく有機EL関連)が多くなっていることがわかります。特にEL関連の発明は2016年出願の比率が高くなっています。液晶表示とEL以外の出願は非常に少なく、この2つの分野が集中して研究されていることがわかります。
市場シェアの大きい企業の出願が多い傾向が強い
G02B5/30(偏光要素)全体の出願数では富士フィルム、住友化学、日東電工の順番ですが、液晶表示に関しては一位が住友化学、日東電工となっています。また、3位の富士フィルムは2016年の出願件数が少なく、この分野からやや力を減らしていることが見て取れます。また、偏光板業界の世界市場シェアは日東電工が一位、住友化学が二位、LGケミカルが三位とされており、業界シェアの高い会社が特許出願にも力を入れていることがわかります(Share Globalレポートより)。
図8は偏光板の世界市場の推移です(矢野経済研究所資料より)。図8を見ると緩やかですが、偏光板の市場は成長していることがわかります。また、そのほとんどが液晶向けとなっています。今後は有機EL向けの偏光板も増加することが期待されます。
以上見てきたように、特許情報解析をした結果と市場情報とを組みわせることで、世の中で生じていることをより網羅的に見ることができるようになります。